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酒匂川石


引き続き酒匂川石の段石です。まず写真をご覧ください。それと、画像をクリックいただければ拡大画像となります。

酒匂川石、段石3


この段石は天端、土坡、底のいずれも面が水平で整っており、石全体のバランスも悪くなく、形状に関しては合格点をあげていいように思われます。それでも、どこかしっくりいきません。

では、この石のどこにしっくりいかない要素があるのか考えてみましょう。一般的に水石の重要な要素として、石質の良さが挙げられます。深く黒い色合いを持つ硬質な石が好まれるのです。(ただし水石で言う硬質は、ダイヤや水晶などの硬質さとは意味合いが異なります)

そこで前回の段石と今回の石を比較してみましょう。前回の段石は硬質で黒みがかった青色をしています。そのため、水濡れ状態では真っ黒く見えています。一方、写真の石は水濡れしているにもかかわらず、緑がかった色合いに見えていますね。その理由は、石の色がやや薄めの緑で深みのある濃さがないからです。石質も当然前回の石より軟質で劣っています。

ですから、形は良くても石質と色に問題がある、というのがこの石に対する評価となるでしょう。まったく、こちらが立てばあちらが立たずといった感じですね。

ここまで三回にわたり段石の問題点を見てきましたが、あまり基本に忠実すぎると気軽に石を楽しめない、という声も出てきそうです。
確かにその通りですが、やはり基本は押さえておく必要があるでしょう。その上で、欠点はあると認めつつも、その欠点をも楽しんでしまう、という考え方があります。

例えば、織部焼で有名な古田織部は整った形ではなく、いびつな茶器の中に美と高い価値を見出しました。茶道だけでなく、水石においてもこれと同じような楽しみ方があっていいのでは、と思います。
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