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相模国の秦氏 その2


昨日酒匂川に行ってみましたが、先日降った春の雪のせいかかなり増水しており、堤防沿いの河原が激流の川筋に変貌していました。よって探石も冴えず、昨年秋以降初めてのことですが、成果ゼロに終わりました。また下曽我の梅林では梅の八割が冷害によって萎びてしまい、今年の収穫はほとんど期待できない状況だそうです。

閑話休題:
相模国は相武(さがむ)国造の支配地域(相模川流域一帯)と師長(しなが)国造の支配地域(酒匂川流域)を合わせたもので、7世紀に成立したのですが、大変不思議なことに、国府がどこにあったのか特定されていません。しかも特定できないのは全国で相模国の国府のみだそうです。候補地としては国分寺のあった海老名市、他に平塚、大磯なども挙げられますが、早く確定資料が出て欲しいですね。

さて前回、秦氏の富士山から秦野に至るコースは海上のみならず陸上にもありそうだと書きました。そこでこのルートの可能性について仮説を立ててみましょう。
富士山麓から陸上で秦野に至る場合、大月に出て藤野、津久井経由ヤビツ峠を越えて、あるいは愛川町方面を踏破しいくのが常識的なルートと考えられます。

彼らがこのルートを選んだ場合、地名などに自分たちの痕跡を残していると考えられます。
その前提で大月周辺の詳細地図をチェックすると、予想した通りの結果が出てきました。
ここには幡野、高畑、畑倉など秦氏にちなむ地名が数多く見られたのです。

大月から東に位置する藤野にも数軒の秦姓のお宅があり、秦氏の氏神である唐土明神を祀る三柱神社も存在しています。以上より、大月に秦氏の痕跡が残っていると理解して間違いなさそうです。

大月と秦氏の関連は他にもあります。大月という地名自体、秦氏を率いて日本に渡来した弓月王の名から取ったものと考えられるのです。

次に、大月を流れる川は桂川と葛野川ですが、この川の名に聞き覚えがありませんか?
そう、桂川は京都を流れる川で、古くは葛野川と呼ばれていました。秦氏は6世紀頃この川に堰堤を築き、堰堤の完成以降葛野川は大堰川と呼ばれるようになったそうです。
桂川周辺と葛野は京都における葛野秦氏の本拠地であり、彼らは本拠地における川の名や地名をここ大月にまで持ち込んでいたのです。

また中国の伝説によれば、桂は月に生える木とされています。大月と桂川。この両方の名前が一定の関係と意図をもって命名されたことは疑うべくもありません。

さらに大月の近くには高畑山(畑は秦に通じる)がありますが、津久井からヤビツ峠に抜けるルートにも高畑山があります。

以上から大月周辺にも秦氏の居住区があったと断定できるでしょう。

秦野の秦氏は藤沢にも到来した模様で、藤沢市羽鳥(服部に関連する秦氏系の地名)の御霊神社にある梵鐘(AD1386年製)には秦景重の銘があります。これは明治になって香取神宮寺の旧鐘を購入したものですが、秦氏により作られた鐘が秦氏ゆかりの地に運ばれたのは、何か不思議な縁を感じさせますね。

御霊神社
御霊神社です。

梵鐘
梵鐘です。

解説板
梵鐘に関する解説板です。

また羽鳥に近い妙善寺の某家の墓碑には徐福の子孫は秦氏と称した、祖先の地は秦野である、との一文が刻まれています。徐福伝承は各地に見られますが、これは徐福がそれぞれの地を訪れたということではなく、徐福伝承を秦氏が担って各地で広めたものと考えられます。その証拠に、徐福伝承がある地には必ずと言っていいほど秦氏の痕跡が認められます。

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写真は妙善寺です。

なお、天平15年(743年)相模国の国司に秦井出乙麻呂という秦氏系の人物が任命されていることから、富士山麓に居住していた秦氏とは別のグループが既に相模国に入っていたものと思われます。

ところで、京都大酒神社の解説板には秦氏の祖先は秦の始皇帝だと記されています。秦氏は、始皇帝だの徐福だのと自分に関係ありそうな時代の有名人を、皆ご先祖様に仕立て上げてしまったのでしょう。何でも自分の中に取り込んでしまう、あるいは他の血脈の中に入り込んでしまうのは秦氏の特技のようです。

秦氏はまたイスラエルからの渡来民であるとされ、他の渡来民と異なり謎に満ちています。私見によれば、秦氏は日本人の精神にきわめて大きな影響を及ぼした(いや現在もその影響が続いている)一族ですが、これらの事情、時代背景を解明するにはタイムスパンをうんと長く取り、かつ膨大な論証が必要となりますので、別項にて検討していきたいと思います。

              ―相模国の秦氏 その3に続く―
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