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鎌倉の谷戸を巡る その10

鎌倉の谷戸を巡る
05 /23 2010

今小路沿いの山裾には、鎌倉砂岩の崖に沿って、幾つかのやぐらが口を開けています。ただそれらを見るのはなかなか困難。ほとんどのやぐらが個人住宅の裏手にあるからです。それでも住宅が取り壊されて駐車場になったような場所は、やぐらを近くで見ることができます。

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写真は寿福寺の少し手前にある駐車場奥のやぐら。

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写真は駐車場右手の個人住宅裏手のやぐらです。

こんなに大きなやぐらが自分の家の裏にあるなんて、どんな感じなのでしょう?
歴史と自分が一体化しているような感覚?あるいは嵐の夜など、ヒュウヒュウと唸りを揚げる風の音が鎌倉武士の慟哭のように響いてくる(*_*; ちょっと怖くありませんか?

さらに今小路を寿福寺方面に歩を進めますが、左折する小道がありますので、そちらに進んでください。大きな家の門の前を右折して歩くと、ちょっとした空き地があり、切り立った崖にやぐらとおぼしきものが・・・。

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やぐらの写真。

しかし、やぐらにしては奥行きがやや浅すぎます。それに奥の壁が四角に切られています。この四角は一体何でしょう?酔石亭主の想像では、何らかの事情で最後まで掘れなかった龕(がん、棺を意味しますが、小区画に区切られた墓所のこと)ではないかと思うのですが・・・。龕は数が少ないものの、浄光明寺の周辺で何カ所か見られますので追ってご紹介します。

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もう一つのやぐら。

やぐらとしては浅すぎます。掘っている途中で作業が中断されたのでしょうか?例えば、鎌倉幕府が崩壊してやぐらを掘るどころではなくなったとか。

疑問を残しつつ前方を見ると、そこには隧道が・・・。

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隧道です。

どこを歩いても隧道に当たるのが、鎌倉谷戸巡りの楽しみですね。しかもここは、掘られた当時の原形を留める隧道のようです。もっとも、いつ掘られたものかは不明ですが・・・。

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反対側から見た隧道の写真。なかなかの迫力。

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隧道の中から来た道を撮影。酔石亭主好みの光景の一つです。

この辺り、道は未舗装で静か。耳に届くのはウグイスの鳴き声だけ。いかにも鎌倉らしい風情があります。いつまでも保存されていくように願っています。
隧道を出て右に折れると今度は民家に続く隧道が現れます。

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隧道の写真。

山側には源氏山に向かう小道があります。この周辺は墓地となっており、やぐらの中にちょっと前の時代や現代の墓石が見られます。鎌倉武士の墓を再利用しているという訳ですね。

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源氏山へと向かう極小の切通しです。道は足の幅しかありません。

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この穴は歩きやすいように誰かが掘ったのでしょうか、それとも自然にできたものなのでしょうか?

次に寿福寺仏堂脇の小道を進みます。すると山の斜面を利用した寿福寺の墓地が現れるのですが、崖にはずらりとやぐらが掘られ、源実朝、北条政子だけでなく、高浜虚子や陸奥宗光、大仏次郎のお墓まであります。

早朝にここを訪れると、森閑とした空気の中、清水がやぐらの上からぽたぽたと滴り落ち、静けさをより一層際立たせています。清浄で非日常の空間ですね。長い歴史の中で眠りについている著名人が、よくきたね、と声をかけてくれるのではないか、そんな気さえしてきます。

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実朝の墓。

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大きなやぐら。

やぐらをもっと写真に収めたかったのですが、その多くは個人のお墓として再利用されているため、止めておきました。しかし一見の価値はあると思いますので、足を運び是非ご覧になってください。

ただ、これらのやぐらの中には、川名で見られるような高棺座を備えたものもあります。
ひょっとすると、鎌倉時代に掘られたもの以外に、八世紀頃の墳墓穴があるのかもしれません。もしそうなら、千年数百年以上の長きにわたり繰り返し再利用されてきたことになります。色々想像の羽を広げるだけでも楽しくなりますね。

          ―鎌倉の谷戸を巡る その11に続く―
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酔石亭主

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