FC2ブログ

『旧約聖書』創世記の謎を解く その5


ここで私たちヒトが、動物のように予定調和の世界にいるままだったらどうなるか考えてみましょう。もしヒトが予定調和の世界にいるままなら……、文明も文化も一切発生せず、死の観念も神の観念も消滅してしまいます。

また仏教的にいえば、予定調和の世界が破綻して、初めて迷界としての世界が存在し始めました。迷界は悟りへの機縁となるものです。迷界が存在しなければ、悟りへの機縁は世界のどこにもないのです。

言い換えると、ヒトがエデンの園から追放されなかったら、この世界は存在の契機を持てなかったことになります。客観世界とヒト。客体と主体。そのどちらか一方がなかったら、双方とも存在し得ないのです。これは実に恐ろしいことです。予定調和の世界が破綻して、ヒトがエデンの園から追放され、初めて全宇宙の歴史が始まったとも言い換えられるのですから。

予定調和の世界が破綻しなかったら、この宇宙は存在できない。とすれば、ヒトがヒトへと進化したのは、宇宙の側からの究極の要請により、ある種の必然的プログラムに従って、そうなったとも考えられます。そしてここにヒトが存在しているということは、開闢から現在に至る全過程において、宇宙は、ヒトが存在するに必要な合理性を完璧に持ち続けていたと言えます。

つまり私たちは、宇宙の全過程を自分たちの背後に背負っているのです。ヒトはこの宇宙に存在しなければならなかった。そして宇宙がビッグバンに始まり、膨張収縮を繰り返すなら、それは輪廻転生であり、死と再生です。

宇宙はビッグバンにより膨張し、次に収縮し、収縮の極点で閉じられ、その瞬間―瞬間と言っても、その時点では時間が存在しないので、ゼロ秒後でも百兆年後でも同義ですが―特異点を経由して、再生するのです。こうして新たな宇宙が開闢し、物質世界が開かれました。一旦物質世界が開かれると、定められたプログラム(体系を支配する内部法則)が次々に起動して銀河系を形成し、自己展開を始めるのです。

次に生命の発祥を考えてみましょう。原始の地球は、様々な物質が溶け込んだ水のスープが豊富にありました。その中で化学反応が進んで、核酸という高分子が出来上がります。核酸分子は自分と同一の分子を合成する自己複製能力を持っていました。この核酸が進化して細胞が生まれ、生命が発祥したのです。

核酸分子の自己複製能力は極めて独自のものですが、この段階では外部に開かれた単なる化学反応なのです。物質世界の極点には至っていますが、まだ生命ではありません。では、核酸分子はどうして生命へと進化してしまったのでしょう?

原始地球は、やがて核酸分子の自己生成のための素材やエネルギーが乏しくなります。その結果、核酸分子は消滅する運命を辿ります。つまり、生命誕生の寸前で、核酸分子の存立基盤が失われたのです。核酸分子は自己の存立を確保するため、自分の周囲に膜を張りました。この膜の内部においてのみ、複製が可能な条件を保持できたのです。

ここで世界は外界と内界に分離しました。環境の疎外が初めて起きたのです。これが生命発祥の起源です。生命は進化によって始まったのではなく、喪失によって始まったのです。

生命にも宇宙と同様の特異点がありました。存在が物質世界の段階においては、全ては外に向かって開かれています。ところが物質世界が極点に達したある時点で、膜によって閉じられました。外界と内界に分かれるのです。その瞬間が生命発生の特異点となります。こうして、物質世界に続いて生命世界が開かれました。一旦生命が発現すれば、宇宙同様のプログラムが起動して、自己展開していくのです。

ヒトの発祥にも同じように特異点がありました。ヒトの祖先もそれまでは、単に生命世界において最も進化した獣(生命の自己展開の極点段階)に過ぎませんでした。そして、自己の存立が不能になるというぎりぎりの地点=特異点で、獣(生命)としての自己が閉じられ、ヒトとなり、新たなる領域(=心的領域)が起動されたのです。こうして、生命世界に続いて心の世界が開かれました。一旦心の世界のプログラムが起動すると、文明や文化が発達するという自己展開を始めるのです。

ここで注目すべきは、新しい世界が開かれる前には必ず死に直面するような絶対の危機があり、そこで相転移が起きて再生し、別の存在となるということです。これは宇宙の開闢、生命の発祥、人類の発祥のいずれにも当てはまります。

私たちは宇宙の開闢から文明の発生までを辿ってきました。この段階で、世界には物質世界、生命の世界、心の世界が存在します。科学がどう進歩しても、宇宙開闢の謎、生命発祥の謎、人類発祥の謎に迫れないのは、死と再生に象徴される特異点が関与しているからです。宇宙にせよ、生命にせよ、人類にせよ、世界が開かれると必ずその内部法則に従って外延的に自己展開(ベクトルが外に向き、宇宙であれば膨張し銀河を形成して、収縮する)します。

ところが、その極点においてベクトルが内に向き、一旦閉じられるのです。この外から内への転換は、外部的観測では非連続であり、断絶であり、飛躍なのです。その地点が特異点です。特異点はこの世界の公理や因果の関係を断絶した地平にあります。従って、通常の観測方法では飛躍としか理解できません。科学は、世界が起動した後の自己展開(公理として表せる事象)しか検証できないからです。

なぜこれらを科学では検証できないのでしょう?答えは簡単です。自己展開(内部法則)は世界が開かれた後にしか出現しないからです。一旦法則ができれば、私たちは、その法則を知り、法則に則って世界を観測し、その展開の成り行きを予見することは可能です(但し、特異点の直前まで)。けれども、なぜ特異点を介して起動し、なぜ自己展開してしまうのかというメカニズム自体は検証不能なのです。

では、どうして世界は特異点を介して起動し、自己展開するのでしょう?このメカニズムに整合する仮説は次のようになります。世界のありようは始めから決められており、この世界には、あるべき未来の記憶が刻印されているからだ、と。ここまでを纏めると以下のように整理できます。

一、宇宙の開闢。物質世界が開ける。自己展開。銀河系などの宇宙の形成。
二、生命の発祥。生命世界が開ける。自己展開。多様な生物の形成。
三、人類の発祥。心の世界が開ける。自己展開。文明の形成。


世界のありようは上記のように極めてシンプルでした。私たちは、宇宙の開闢から生命の発祥、人類の発祥、文明の発生、旧約聖書まで、時代を前後しながら現代に近づいてきました。

しかし心の世界は、開かれるべき世界の最終段階ではありません。この日本で次の世界が新たに開かれたのです。それを追及するには、次に日本人の特殊性に秘められた謎を解明する必要があるでしょう。謎解きの旅はまだまだ続きます。

         -日本人の特殊性の謎を解く その1に続く-
スポンサーサイト



プロフィール

酔石亭主

Author:酔石亭主
FC2ブログへようこそ!

最新記事
カテゴリ
最新トラックバック
月別アーカイブ
カレンダー
05 | 2010/06 | 07
- - 1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30 - - -
天気予報

-天気予報コム- -FC2-
最新コメント
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
QRコード
QRコード
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる