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新田義貞鎌倉攻めの謎を解く その11


前回、この地域の関東大震災前の状況を検討し、山頂付近まで山が存在していたはずと指摘しました。しかし、鎌倉時代はまた違っていたはずです。

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電子国土画像。ファイル4

金山(2)と霊山ケ崎(4)の山の形に注目してください。極楽寺川から高度を上げつつ山頂に向かうところで断ち切られています。この立ち上がり方から、霊山ケ崎は本来、海に向かって徐々に高度を下げていくような構造の山(=崎)になっていたと考えられるのです。つまり鎌倉時代においては、本来なら山頂から200m以上先で海中に没するような崎となっていたはずです。よってこの場所は霊山ケ崎と呼ばれていたのです。霊山ケ崎と呼ばれる場所に崎などないという矛盾もこれで解消されました。

さらに、七里ガ浜の二つの丘陵も現在の形から推定すると、100m程度先まで丘陵が続き海中に没していたと考えられます。

では、200m以上先まであった霊山ケ崎はどうして消えてしまったのでしょう?それは鎌倉時代以降の大地震により崩壊したためと考えられます。例えば元禄大地震があります。元禄大地震に関しては以下Wikipediaより引用します。

元禄大地震(げんろくだいじしん)とは、1703年12月31日(元禄16年11月23日 (旧暦))午前2時ごろ、関東地方を襲った大地震。震源は房総半島南端にあたる千葉県の野島崎と推定され、東経139.8度、北緯34.7度の地点にあたる。マグニチュードは8.1と推定されている。
1923年(大正12年)の関東地震と同タイプの海溝型地震であり、震源分布図も類似することから関東大震災以前の関東地震であると考えられている。大規模な地盤変動を伴い、震源地にあたる南房総では海底平面が隆起して段丘を形成した元禄段丘が分布し、野島岬は沖合の小島から地続きの岬に変貌したという。
江戸時代中期の元禄から宝永年間は巨大地震が頻発した時期であり、前後の時期にも地震が多発している。


元禄大地震は関東大震災を凌ぐとされています。関東大震災でもかなりの崩落があったことから、江戸時代に頻発した地震で海に突き出した霊山ケ崎のもろい岩盤が崩れ落ちたとしても不思議ではありません。この地の岩盤の脆さについては、奈良時代後期にもう知られていたようです。「万葉集」の巻14 3365には以下のような作者不詳の相聞歌があります。

可麻久良乃 美胡之能佐吉能 伊波久叡乃 伎美我久由倍伎 己許呂波母多自

鎌倉の見越の崎の岩崩(いはくえ)の君が悔ゆべき心は持たじ

鎌倉の見越の崎の岩崩のように、あなたが悔いるような心は、私は持ってはいません

「くえ」、とは大雨などで山や土手の斜面、あぜ道が崩れることです。では、鎌倉の見越の崎の崩れやすい岩とはどこを指しているのでしょう?この場所の候補地は、稲村ケ崎の他に腰越の小動崎、甘縄神社背後の御輿ヶ嶽などがあり、現在では特定できないとされています。しかし本当にそうでしょうか?

酔石亭主は見越しの崎という言葉に注目してみました。見越しとは、隔てている物の上を越して見ること、を意味します。稲村ケ崎の上を越して見ることができる場所。それは霊山ケ崎の山頂部以外にありません。小動崎の上を越して見る適当な場所はなく、御輿ヶ嶽は内陸部になりますのでこの歌に該当する場所ではありません。

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ウッドデッキから見越した稲村ケ崎。 

奈良時代にはもっと海側に出た高い位置から見ていることになり、ほぼ全景を見越せるはずです。

最近においても、2009年10月の台風18号の影響で地盤が緩み、134号線に沿った金山から霊山ケ崎の崖が高さ約20メートル、幅約15メートルにわたり崩れ、道路の片側を塞ぎました。酔石亭主は台風の翌日(記憶が曖昧で、数日後かもしれません)134号線沿いの珊瑚礁というよく知られたレストランで食事をしたのですが、その辺りの134号線は波によって道の海側半分がえぐり取られていました。珊瑚礁は七里ガ浜の行合川近くにあり、背後には山が迫っています。

こうした現代の状況からも判断できるように、鎌倉時代以降、元禄大地震などの度重なる地震、台風などの浸食作用によって崩落していった崎は霊山ケ崎であり、また七里ガ浜の丘陵だったのです。

              ―新田義貞鎌倉攻めの謎を解く その12に続く―


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