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原発は是か非か

大震災と原発事故
03 /21 2011

現在日本の電力は大ざっぱに見て、火力が6割、原子力が3割、水力その他が1割という比率で賄われています。日本における総発電量の3割が原子力に頼っているのは見過ごせない数値です。調べてみると、関西電力は電力供給の約48%を原子力発電に依存していると判明しました。しかも建設から30年以上の老朽炉が多く、美浜1号機など運転開始から40年が経過しています。

今回の大災害で原子力の危険性が改めてクローズアップされました。国際社会も固唾を飲んで日本の成り行きを見詰めています。世界中で原発建設の見直し論が湧きあがるのは間違いないと思われます。

政府やマスコミは想定外の巨大地震が襲ったため原発事故が起きたとしています。全ての責任は巨大地震にあると言わんばかりの説明です。M9.0は確かに史上稀な巨大地震でしょう。しかし、津波に襲われた町の映像を見る限りでは、高台にある個人住宅はほとんど被害を受けていないように思われます。個人住宅でも破壊されない地震に原発の施設が破壊されていいはずがありません。

なお報道によれば、原発における実質的被害は、地震ではなく津波によるものとされています。結局、想定外の巨大地震に続く想定外の大津波により福島原発は甚大な被害を受けたと政府は言いたいようです。「本当にそうでしょうか?」

明治29年(1896年)に起きた明治三陸地震に伴う津波では、岩手県の綾里(りょうり)と言う場所で高さ38.2mもの波が押し寄せたそうです。以下例によってWikipediaより引用します。

明治三陸地震(めいじさんりくじしん)は、1896年(明治29年)6月15日午後7時32分30秒に発生した、岩手県上閉伊郡釜石町(現・釜石市)の東方沖200km(北緯39.5度、東経144度)を震源とする地震。M8.2~8.5という巨大地震であった。…中略…
波高は、北海道の襟裳岬では4m、青森県三戸郡八戸町近辺(現・八戸市)で3m、宮城県牡鹿郡女川村(現・女川町)で3.1mであったが、岩手県の三陸海岸では下閉伊郡田老村(現・宮古市)で14.6m、同郡船越村(現・山田町)で10.5m、同郡重茂村(現・宮古市)で18.9m、上閉伊郡釜石町(現・釜石市)で8.2m、気仙郡吉浜村(現・大船渡市)で22.4m、同郡綾里村(同)で21.9mと軒並み10mを超える高さを記録している。 
特に綾里湾の奥では入り組んだ谷状の部分を遡上して、日本の本州で観測された津波では最も高い波高38.2mを記録した。…中略…
明治三陸地震は、震度が小さいにもかかわらず、巨大な津波が発生し、2万人を超す犠牲者が出た。これは、この地震が巨大な力(M8.2~8.5)を持ちながら、ゆっくりと動く地震だったためである。最近の研究では、この時、北米プレートと太平洋プレートが幅50km、長さ200kmにわたって5~6mずれ動いたことが分かってきた。


「いかがでしょう?」湾の奥における波高38.2mは特別ケースとしても、軒並み10mを越える波高が記録されているのです。専門家ならずとも知っているような内容を、電力会社や政府はどう考えているのか問い質したくもなります。

一方福島原発の防波堤は7mで、今回は12から14mの津波に襲われたとされています。三陸と福島の地形的差異を考慮したとしても、明治三陸地震レベルの10m級津波は想定内とすべきではないでしょうか?

釜石市では世界一とされる長さ約2kmの堤防が、1200億円の巨費を投じ2009年に完成していました。津波はこの最強堤防をも破壊しあっさり乗り越え、陸地に侵入したのです。この事実が、どんな堤防をもってしても津波を防げないことを意味しているのであれば、その対応は建屋の設置場所をより高くする以外にありません。

あるいは、福島原発の建築を止めるべきだったのかもしれません。今更あれこれ言っても全ては後の祭りなので、無力感に襲われますが…。

いずれにせよ、政府と電力会社の想定は甘すぎたのです。よって福島原発の事故を大津波のせいにしてはならないと思います。最高度に厳しい基準のその上を行く基準を元にして想定しなければ、原発事故は防げないのです。

一旦事故が起きればそれこそ取り返しのつかない事態になります。しかし、原発が存在し電力供給をそれに頼っているのもまた現実です。

原発の危険性に改めて肝を冷やした今、いかなる代替手段が考えられるでしょうか?火力発電は比較的小さな立地で大規模発電が可能です。しかしCO2ガスの発生を考慮すると現状からさらに上積みするのは難しそうです。

水力自体はクリーンエネルギーですが、生態系や環境に影響を及ぼします。また考えられる好立地には既に発電所が建設されており、3割分を追加で建設できる余地はほとんどありません。風力や太陽光はどれほど頑張っても小規模発電でしかないでしょう。

原子力は言わばハイリスク・ハイリターンの発電方法です。大量の電力を供給できる一方で、万が一の事態に立ち至った場合、チェルノブイリのように周囲300kmが廃墟と化すのです。日本のように狭い国土で300kmが汚染されたら経済活動は成り立ちません。

「ではどうすればいいのでしょう?」答えはそれほど難しくないと思われます。全ては私たち国民の意識の持ちようにかかっているのです。災害時だけでなく個人も企業も常時節電を心がければ、消費量は相当抑えられるはず。コンビニは24時間営業で便利ですが、その便利さの代償として原子力を使用しなければならないのです。

ちなみに酔石亭主は、災害に関係なく以前から常時節電に心がけています。まあ、電気代がもったいないと言うのがその主たる理由ではありますが…。個人的なことはさて置いて今後どうすべきかを考えてみましょう。

不便であっても我慢して原子力に頼らないか、便利な生活に慣れた以上そんな不便さは我慢できないからやはり原子力だと言うのか、選択は二つに一つです。あなたはどちらを選びますか?

The choice is ours. つまり選択は私たち自身にあるのです。「不自由を常と思へば、不足なし」の精神に立ち返ることができるなら、これ以上原発を増やさず、現存している原発については耐震強度を一層高め防波堤を高くすることで対処すべきと思われます。ただ既存の原発は老朽化しつつあり、現在の数倍かそれ以上の保守経費を投じる必要があるはずです。

今後少子高齢化に伴う人口減や企業の海外立地が進めば、電力需要自体も減少してくると思われ、これはある意味で追い風となります。

今回の原発事故は、個人と企業の両方が効率性と利便性を極限まで追求してきた日本型社会のあり方を根本から問うているのです。私たちは突き付けられたものの重さを噛みしめて、自分たちの今後をどうするのか決める必要があります。


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酔石亭主

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