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大野町のうだつ建築


知多半島にある常滑市大野町は内宮御祭宮社に代表される古い歴史を持ち、鎌倉時代には三河から半田市の紺屋海道を経て伊勢へと向かう中継地でした。また大野水軍でも有名で、お江は熱田から大野水軍の船に守られて大野の地に入ったとされます。

往時の賑わいを今に伝えるかのように、街を歩くと格子のある古い商家が目に付きます。実は大野町を訪問した最大の目的は、一軒のうだつ(=卯建=梲)の上がる建物でした。

うだつの多くは岐阜県から兵庫県にかけて分布しており、藤沢から遠いためなかなか見にいけません。うだつの上がった建物は江戸末期から明治、大正にかけて建築されたもので、いずれ消滅していく運命にあります。滅びの美学ではないのですが、うだつには江戸末期に勃興した商人の心意気と爽快な建築美が感じられて、とても興味深いのです。うだつに関しては以下Wikipediaより引用します。

うだつは、日本家屋の屋根に取り付けられる小柱、防火壁、装飾。本来は梲と書き、室町以降は卯建・宇立などの字が当てられた。…中略…
本来、町屋が隣り合い連続して建てられている場合に隣家からの火事が燃え移るのを防ぐための防火壁として造られたものだが、江戸時代中期頃になると装飾的な意味に重きが置かれるようになる。自己の財力を誇示するための手段として、上方を中心に商家の屋根上には競って立派なうだつが上げられた。
うだつを上げるためにはそれなりの出費が必要だったことから、これが上がっている家は比較的裕福な家に限られていた。これが「生活や地位が向上しない」「状態が今ひとつ良くない」「見栄えがしない」という意味の慣用句「うだつが上がらない」の語源のひとつと考えられている。


うだつで有名なのは美濃市です。ここへはかなり以前に訪問しているのですが、当時は銀塩写真であったため残念ながらブログには掲載できません。美濃市に行く途中の関市や美濃太田市にも立派なうだつが見られます。

うだつに関する唯一の書籍は中西徹氏の「うだつ その発生と終焉」(二瓶社)です。この本にはうだつの歴史から分布図まで細かく書かれています。ところが、大野町のうだつは載っておらず、余計に興味をそそられます。

うだつの講釈はこの辺で終わりにして、早速うだつを見に行きましょう。

場所は尾張大野郵便局の北側角です。


大きな地図で見る
グーグル画像。

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うだつ。

一階と二階が全面格子の商家にうだつが上がっています。このうだつは袖うだつではなく、立派な「本うだつ」です。

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もう一枚。

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さらに一枚。袖壁部分(うだつの小屋根の下にある白い壁部分)が美しい。

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小屋根が「むくり屋根」のように緩やかにカーブしています。

残念なことに建物前面の左半分は改変されています。このため奥側のうだつは袖壁部分が消滅しています。

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袖壁部分が消滅した奥側のうだつ。

奥側のうだつ写真の左端はどうなっているかチェックします。

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左端の部分。

このトタンの張られた部分までが袖壁部であると理解できます。その下に壁パネルがはめ込まれています。面白いのは木柵の後ろに別の袖壁らしきものが見えることです。最初は袖壁だけの建築に後でうだつを取り付けたのかとも思いましたが、袖壁もうだつも取り付け位置は同じなので、それはなさそうです。

手前のうだつの反対側も見てみましたが、やはり改変されています。

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手前のうだつの反対側。

このうだつはいつ頃の建築でしょう?平野家の土蔵が文化2年(1805年)と確認されており、地元ではうだつ建築もその前後と推定されています。しかし、酔石亭主は明治時代と考えます。理由は建物の二階部分が高いからです。(江戸期の建物は建築技術上の問題から二階部分が低い)
たった一軒のうだつでも、あれこれ考えると面白いですね。
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