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古墳から見た大和の古代 その7


前回までで佐紀古墳群の西群と垂仁天皇陵の大雑把な検討が終わりました。今回からは総合的に見ていきますが、まず西群にある各古墳(垂仁天皇陵も含む)の推定築造時期と墳丘長を纏めてみましょう。以下は築造時期の早い順に書いています。

佐紀陵山古墳(日葉酢媛命陵、4世紀後半の終わりに近い時期、墳丘長207m)
宝来山古墳(垂仁天皇陵、4世紀末、墳丘長227mで、推定復元で240mの説あり)
佐紀石塚山古墳(成務天皇陵、4世紀末、墳丘長218.5m)
五社神古墳(神功皇后陵、4世紀末から5世紀初頭、墳丘長267m)

上記が佐紀山古墳群の西群における推定築造時期と墳丘長の纏めです。(注:平城天皇陵に治定されている推定墳丘長250mの市庭古墳も西群のようですが、5世紀前半の築造時期から判断して東群と考えます)この順序は「日本書紀」の順序にも沿ってはいます。その意味では問題ないものの、2点考慮すべき部分が出てきそうです。まず推定築造時期に関して、上記の場合375年以降から405年頃の間に4基もの巨大な大王墓が築造された計算になります。30年と言う短い期間内に4基もの巨大古墳を築造するとなると、奈良盆地内の動員力だけでは不可能ではないでしょうか?

後で詳しく見ていきますが、佐紀王朝は山城、近江を支配下に置いていた可能性があり、さらに北の丹波や但馬とも協力関係にあったと思われます。従って、これら地域に動員をかけて、ほとんど同時並行的に築造を進めていった可能性も否定できません。また各古墳が近接していることから、上記古墳は同じ一族或いは同じ集団の墓と見られます。

「日本書紀」によると、第11代垂仁天皇の宮殿は三輪山の北・巻向川を越えた場所にあり日葉酢媛命はその皇妃でした。垂仁天皇は第10代崇神天皇と第12代景行天皇の間に位置し、従って古墳は景行天皇陵より古いはずなのに、実際には逆となっています。

崇神天皇、垂仁天皇、景行天皇はその宮殿の位置から三輪王朝と仮称しましたが、垂仁天皇は明らかに佐紀王朝系の人物です。この矛盾の発生原因は、「日本書紀」の編纂者の何らかの意向、言い換えれば彼らの上に立つ天皇家の意向、によるものと推測します。その検討の前に、奈良盆地や河内などで他の巨大古墳が4世紀後半から5世紀初頭までの間に築造されていないかチェックしてみましょう。

馬見古墳群
築山古墳(奈良県大和高田市、210m、4世紀末)
島の山古墳(奈良県磯城郡、200m、4世紀末~5世紀初頭)
巣山古墳墳丘長(奈良県北葛城郡、204m(推定復元約220m)、4世紀末~ 5世紀初頭)

室大墓古墳(奈良県御所市大字室、238m、5世紀初頭)

河内
津堂城山古墳(藤井寺市、208m、4世紀後半から末で、古市古墳群の中で最初に築造された大王墓級の古墳)
摩湯山古墳(岸和田市、200m、4世紀後半)

いかがでしょう?佐紀古墳群(西群)とほぼ同時期に6基もの200m級巨大古墳が築造されていました。(注:漏れがあった際はご容赦ください)上記の内、馬見古墳群と室大墓古墳は葛城氏の墓の可能性もあります。新木山古墳(奈良県北葛城郡広陵町、200m、5世紀前半)は後の時代となるので含めません。馬見古墳群は佐紀古墳群よりやや小振りなものの、ほぼ拮抗できるような規模ではあり、4世紀の終わり頃から5世紀の初めにかけて奈良盆地には二つの王朝が並立していたようにも見えてしまいます。馬見古墳群の被葬者たちを馬見王朝と仮称します。(注:葛城王朝でもいいかもしれません)

では、馬見古墳群を築造した一族・集団はどこから労働力をかき集めたのでしょう?奈良盆地のほぼ中央部西寄りにいた彼らは、地の利を生かし奈良盆地からマンパワーを動員するしかなさそうです。佐紀王朝と馬見王朝で労働力の取り合いをしたのかどうかはわかりませんが、仮に馬見王朝が労働力を奈良盆地から招集した場合、佐紀王朝側は困ることになります。そこで、佐紀王朝は労働力を奈良盆地に依拠していなかったと仮定してみましょう。

この仮定が正しければ、既に書いたように佐紀王朝は但馬、丹波、近江、山城方面から移住してきた人々の王朝だったから、それらの国々から労働力を招集した、との推論に合理性が出てきます。話がややこしくなりそうなので続きは次回とします。
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