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熱田神宮の謎を解く その19 高牟神社


物部神社から南に下ると、これまた名古屋駅前から東に向かう錦通があり、錦通からさらに少し南に下ると広小路通となります。広小路通に入って少し東に歩き右に折れると高牟神社の境内に至ります。JR千種駅から向かえばすぐの距離なので行ってみましょう。


大きな地図で見る
高牟神社の位置を示すグーグル地図画像。

JR千種駅前の歩道橋を渡ります。

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広小路通を跨ぐ歩道橋から西側(名古屋駅方面)の写真。

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東側の写真(神社の鎮座する方面)。

とても神社があるようには見えません。でも広小路通を右に折れるとすぐ広い境内が見えてきました。

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境内の広さが実感されます。

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鳥居です。これは脇の鳥居なので正面に回ります。

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正面の大鳥居の先にある蕃塀。

正面の鳥居を入れたかったのですが、道路が狭く入れられません。蕃塀は完全に社殿を隠しています。

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蕃塀の先には堂々とした社殿が。

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端正な佇まいです。

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高牟神社御由緒略記です。文字が消えかかっています。

成務天皇の時代に創建ですから、物部神社同様長い歴史を持った神社と理解できます。鎮座地は名古屋市千種区今池1‐4‐18(旧住所:千種区元古井1‐18)とあります。祭神は高皇産霊神、神皇産霊神、応神天皇とのこと。物部系の神は鎮座していません。しかし、この地には物部氏の武器庫があったとされ、武器庫跡が神社となったようです。

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扁額です。

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本殿。

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百度石。今でもお百度を踏む方が居られるのでしょうか?

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元古井発祥の地の石碑と手水舎。

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簡単な解説。

ざっと高牟神社を見てきましたが、古い神を祀る神社であることは理解されます。でも、これだけでは何もわかりません。解説板があるのでチェックします。

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名古屋市教育委員会の解説板。

この場所は常世の草香島(くさかじま)と呼ばれ、あちこちから清泉が湧き出ていたそうです。だから境内に応神天皇に水を献上した古井があるのです。よって以前の地名は元古井(もとごい)であったのです。安易に住居表示を変えると過去の歴史が消し去られてしまいますね。

でもこの解説板のポイントはそこではありません。「常世の草香島」に着目ください。物部氏の武器庫があった場所が草香島だとしたら、尾張連草香との関連が疑われます。

目子媛が被葬者とされる二子山古墳は物部神社の鎮座地でした。断夫山古墳の被葬者とされる尾張連草香が物部氏の武器庫である草香島の地からやって来た人物とすれば、やはり彼は物部氏となってしまいます。つまり目子媛側の二子山古墳、尾張連草香側の断夫山古墳のどちら側から見ても、この両者は物部氏の可能性が高くなってしまうのです。

尾張連草香と目子媛は尾張氏なのでしょうか、或いは物部氏なのでしょうか?結論は出せそうにありません。そんな場合には彼らの遠い先祖まで遡るしかなさそうです。尾張氏の始まりを系図的に書くと以下のようになります。

天照大神―天忍穂耳命―天火明命

そして、「先代旧事本紀」によれば、天火明命のまたの名は饒速日命(にぎはやひのみこと)となっています。ニギハヤヒはもちろん物部氏の祖神です。天火明命とニギハヤヒは異名同体の存在でした。つまり尾張氏から見れば「人物A」は天火明命で自分たちの祖神。物部氏側から見れば「人物A」はニギハヤヒで自分たちの祖神となるのです。これを尾張連草香と目子媛に適用すれば、2人は尾張氏か物部氏かという疑問を回避することができるのです。

別の見方もできます。建稲種命は邇波県君(にはのあがたのきみ)の祖である大荒田命の娘・玉姫と婚姻しました。うんと大ざっぱですが、尾張氏は尾張の南部を支配していたとして、丹羽氏は小牧から犬山にかけての尾張北部の支配者でした。その両者に挟まれた位置にあるのが物部氏の支配地域です。

尾張連草香は娘の目子媛を即位前の男大迹王(後の継体天皇)に嫁がせています。一方継体天皇の擁立に尽力したのは他ならぬ物部氏で、継体天皇の22年には筑紫国造磐井の乱を鎮圧するため物部麁鹿火(もののべのあらかひ)が大将軍として出陣、磐井を斬ったとされます。

つまり、尾張氏が物部氏の頭越しに丹羽氏とだけ婚姻関係を結んでいたとは考えにくいのです。尾張氏は物部氏と始祖の代から関係がある以上、時代が下っても密接な関係を維持していたのではないでしょうか?

例えば、草香島にいた物部氏の子供が尾張氏に養子に出たとします。彼が尾張連草香を名乗り、その娘である目子媛が男大迹王に嫁いだとするのは継体天皇と物部氏の関係からしてごく自然なことに思えます。このように考えれば、尾張連草香と娘である目子媛の二人を、尾張氏と物部氏の両面から見ることができるのです。一応そう結論を出しておきましょう。

現在のテーマとは関係ありませんが、草香島が常世であるのも少し気になります。氷上姉子神社鎮座地の大高にも常世島の地名がありました。常世島から北に線を引くと星崎を経て千種に至ります。南北ライン上に常世があるとは何を意味しているのでしょう?何か意味があるのかもしれません。

なお、尾張連草香の娘である目子媛に関して、「古事記」では尾張連の祖、凡連(おほしのむらじ)の妹、目子郎女が嫁ぎ云々となっていて、「日本書記」とは異なった記述になっています。

他にも可能性を探してみます。「日本書記」の雄略天皇14年の条には、仁徳天皇の皇子である大草香皇子の名にちなみ、難波吉士日香香の子孫を求め、姓を賜いて大草香部吉士とすると言う記事があります。またWikipediaには以下の記事があります。

草香幡梭姫皇女(くさかのはたびひめのひめみこ、生没年不詳)は雄略天皇の皇后。古事記には若日下(部)王(わかくさかべのみこと)或は波多毘能若郎女(はたびのわきいらつめ)とある。父は仁徳天皇、母は日向髪長媛(日向諸県君牛諸井の女)。大草香皇子の同母妹。子女は無し。
安康天皇元年(454年)2月以降、大泊瀬皇子(後の雄略天皇)の妃となった。雄略天皇元年3月3日(457年4月12日)、雄略天皇の皇后に立后された。古代の部民である日下部氏は、この皇后の生活の資用に充てられた料地等の管理に従事した人々とする説があり、各地に配置された屯田兵のような軍事集団でもあったとされる。古来より、履中天皇の皇后である草香幡梭皇女と同一人物であるとする説もある。


難波吉士の流れに連なる大草香部吉士も、名前からして尾張連草香との関係が疑われます。さらに、難波吉士には赤目子と言う人物までいます。「日本書紀」の雄略天皇8年には、高句麗に攻められた新羅の王が、倭国へ援軍の派遣を求めてきたので、難波吉士赤目子などを新羅の救援に向かわせたとの記述も見られます。赤目子と目子媛に何らかの関係がありそうな気がしませんか?

あれこれ書きましたが、結局断夫山古墳と二子山古墳の被葬者は尾張氏(尾張連草香と目子媛)なのか、物部氏なのか、難波吉士の流れをくむ草香部吉士なのか結論は出せません。本当に尾張氏は難しいと思います。この問題の追及は以上で打ち切りとします。どなたかさらに研究いただければ有難いのですが…。

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地下鉄の車道駅前に戻り、ふと物部神社の方を見ると、歩道に車が…。

               熱田神宮の謎を解く その20に続く
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まとめ【熱田神宮の謎を解く 】

物部神社から南に下ると、これまた名古屋駅前から東に向かう錦通があり、錦通からさらに少し南に下ると広

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Re: タイトルなし

それぞれの高牟神社はやはり物部氏の武器庫と考えるべきなのでしょう。
氷上は尾張氏の拠点と考えられますが、尾張氏と物部氏は融合しているような部分があります。
例えば、先代旧事本紀では物部氏の祖神ニギハヤヒは尾張氏の祖神天火明命と同一神とされます。
尾張氏の天香語山命は物部氏の高倉下命と同一神に見えます。
ややこしいですね。
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