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尾張氏の謎を解く その91


今回は伊富岐神社を訪問します。


鎮座地を示すグーグル地図画像。

伊富岐神社の検討を進める前に、なぜこの地が伊福部氏の重要拠点となったのかもう少し見ていくことにします。既に何度か書きましたが、伊吹山と養老山地に挟まれた不破の地峡帯は、冬になると裏日本から強い風が吹き込み、伊吹颪(いぶきおろし)と称されています。

風だけではありません。1927年の2月14日には、伊吹山において1182cmの積雪が観測されました。これは積雪の日本記録であり、同時に世界記録ともなっているのです。日本の中央部に位置する伊吹山一帯がいかに特異な場所であるか、ここからも理解されますね。

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新幹線から見た伊吹山。3月に撮影したもの。

この地では冬に吹く強風により、蹈鞴製鉄の際、蹈鞴を風の方向に向けておき、少し足で踏むだけで炉内に風が入り、火を起こすことができたそうです。気象的には厳しい場所なのに、古代の伊福部氏がこの場所を重要拠点としたのは、周辺地域に鉱石が産出(美濃赤坂の金生山では鉄鉱石などを産出)するだけでなく、この風を利用することで比較的容易に鉄や銅を精錬できたからだと思われます。

伊福部の名前は部民制度成立後の、時代的には6世紀(継体天皇の御世)以降に使用され始めたものと推定されます。それより数百年前の彦坐王の時代における伊福部氏は、蹈鞴製鉄や鍛冶などに従事する息吹く民(=伊福=伊吹)として存在していたのでしょう。息吹く民である彼らのありようから、伊吹神社、意布伎神社、伊夫伎神社、伊夫岐神社、伊福部神社、伊富岐神社、伊吹戸神社、伊富神社、伊富利部神社、結城神社など、表記が異なる様々な名前の神社が創建されたと考えられます。

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伊富岐神社境内です。主祭神は多多美彦命で伊吹山の神とされる。

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拝殿。

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大杉。見ごたえのある巨木です。

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大杉解説板。

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幹が分かれた部分。

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拝殿を横から撮影。

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解説板。

もっと詳しい由緒を知りたいと思い、岐阜県神社庁のホームページを参照したところ、以下のような記載がありました。

当社の古き由緒創建年紀等は不詳に属すれども、此の付近一帯往古は瓊々杵尊の御兄天火明命の子孫伊福氏の本貫なれば同氏等が氏神として創祀せるなるべし。由緒として史籍に見えたるものには、文徳天皇実録に仁壽二年十二月美濃國伊冨岐神を以て官社に列すとあり。三代実録には清和天皇の貞観七年五月十八日従五位下伊冨岐神に従四位下を授く。陽成天皇の元暦元年二月二十一日従四位下伊冨岐神に従四位上を授くと見え、延喜式神明帳には美濃國三座の内とあり。美濃神名帳には正一位伊冨岐と見え、その他康和五年神祇官奏状同中臣氏祭文本朝神社考平家物語神社啓蒙美濃國雑事記美濃明細記藤河日記等にも当社のこと見えたり。一千余年前既に官社に列せられ、中間史料を免れしたれども、年次を追って授位せられ、現在は正一位を以て傳ふる古社なり。明治六年郷社に列せられ、大正七年縣社に昇格せらる。昭和二十七年一月十六日稲荷神社を合併承認。

神社庁ホームページは以下を参照ください。
http://www.gifu-jinjacho.jp/syosai.php?shrno=2548&shrname=%E2%96%A0%E4%BC%8A%E5%AF%8C%E5%B2%90%E7%A5%9E%E7%A4%BE%E2%96%A0

ホームページ記載内容から、同社を創始したのは伊福部氏であり、高い位の神社である(美濃国二宮とされる)と理解されます。ただ、これだけでは不十分なので次回でもっと詳しく見ていくことにします。

         尾張氏の謎を解く その92に続く
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