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究極の選択


震災関連のニュースを見ていたとき、奥さんを亡くした被災者の方が出ていました。この方は奥さんにすぐ逃げようと言ったのですが、奥さんは家に残ると答えどうしても譲らず、命を落とされたのです。

被災者の男性は引きずってでも連れてくれば良かったと涙ながらに語っていました。何が奥さんをして家に止まらせたのかは不明ですが、これと似たようなケースは各地で続出していたと推測できます。

家に動けない年寄りがいる。海に近い介護施設に親がいる。同様の場所に保育所があって子供がいる。など様々な事情で、地震の後、家族が家から逃げず津波の被害に遭った方、自宅は高台の安全な場所に建っているのに、子供や親を救出するため平地に向かい、命を落とされた方は少なくないと思われるのです。また命は助かったものの、親が動けないので避難所には行かず、半壊状態の家の二階で過ごされている方もいます。

こんな例を考えてみました。

ある家に、年老いて動けない御両親と夫婦、子供2人の6人家族がいたとします。そこに大地震が襲いました。お年寄りは家を離れたくないと主張します。このお年寄り2人は奥さんのご両親だったとします。御主人は早く逃げようと強く勧めますが、奥さんは多分両親を残して逃げられないと言うでしょう。そもそも家にある軽自動車で6人全員を乗せることはできません。

奥さんからそう強く主張されると、御主人は動くに動けなくなります。ご主人が動けなくなれば子供たちも動けません。そうこうしているうちに巨大な津波は家を飲み込んで、一家は全滅となるのです。

このような場面に遭遇したら私たちはどうすればいいのでしょう?

決断は一瞬で下さなければなりません。妻の両親は残し、夫婦と子供4人が生き延びるのか。年老いた両親と共に全員が被害に遭うのか。私たちは正しく究極の選択を迫られるのです。仮に4人で逃げて生き延びたとしても、親を見捨てたことで深刻なストレスに悩まされ続け、夫婦間に亀裂が入るのは避けられません。

あなただったらどうしますか?

この問い掛けには酔石亭主も答えられません。個々人がその場で判断するしかないのです。そうした場面が来ないことを祈りたいのですが、私たちの上には福島原発の事故と言う難問が重くのしかかっています。

日本政府の指示は、20km以内は圏外へ退避、20~30km圏内は屋内退避となっています。一方米国は自国民に対して80km圏外への退避を勧告しています。上記した究極の選択を考えたとき、米国政府の勧告の意味が見えてきます。

放射性物質のレベルが現状のままであれば、多分日本政府の指示通りでも問題はないはずです。しかし仮に最悪の事態に立ち至ったとしたら…、直ちに避難行動を取らねばならない20~30km圏内の人たちは、究極の選択を迫られる可能性が出てきます。

自力脱出できない人のために、外部から救援のバスが来るでしょうか?運転手に自ら死地に飛びこむよう指示できるでしょうか?使命感に燃える行政の方や一部の運転手さんは危険を顧みず救出に向かうでしょう。しかし、多くの運転手は拒否するはずです。

一方80kmであれば、万一の事態に立ち至っても、一定の時間的余裕を持って避難行動に移れるはずです。この場合、究極の選択は不要となるでしょう。

20~30kmと80km。その差の意味するところは、現在の放射性物質量だと安全か否かではなく、万一の場合でも究極の選択をせずに済むかどうかの違いなのです。

大津波における究極の選択は誰にとっても非常に困難です。しかし、原発の場合であれば究極の選択を迫られないようにする事前の処置は可能なはず。行政は万一の事態に備えて、20~30km圏におられる人たちがどう避難するべきか、詳細なシミュレーションを事前策定しておくべきと思います。

特に自力脱出が困難な方や放射能の影響を受けやすい乳児に対しては別途の基準を設けるべきだと思うのですが、いかがなものでしょう?関係自治体は国の判断や基準に盲従するだけではなく、自己の責任と判断において行動していただきたいと思います。後になって国の判断が間違っていたと批判しても、それこそ後の祭りでもう遅いのです。

日本人は自ら重要な決定を下せない民族です。第二次世界大戦において、負けると首脳部の誰もがわかっているのに、決定をいつまでも先送りし、遂に戦争に突入、終戦時もこれ以上戦えないとわかっていて決定を先送りし、原爆投下を招いてしまいました。

この時点で終戦にならなかったら、米軍は史上最大とされたノルマンディー上陸作戦をはるかに凌ぐコロネット作戦(茅ヶ崎海岸と九十九里海岸に上陸して首都東京へ進撃する作戦)を発動し、酔石亭主が居住する湘南地方は完膚なきまでに破壊され尽くしたでしょう。

決断の遅れは被害を無限に拡大させます。特に原発事故の場合は、米国のように余裕のある判断基準が必要です。国も自治体もこうした点を念頭に置いて、問題に対処していただきたいと思います。


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